今も根強い人気のミュージシャンaiko。
最初によく聞いたアルバムが『夏服』でした。タイトル通り、夏の運転中は大体毎回聞いてましたね。
『夏服』がリリースされたのは2001年。
私がよく聞いてた頃が25~33歳くらいだったはずで、長距離移動の際に仕事の疲れを癒すためであったり、仕事を終えた帰路「くそ…負けちゃった…」と落ち込んでいたときに、特によく聞いていました。
当時は、特別意識してCDを選んでいたつもりはなかったので、「なんで『夏服』をよく聞いてたんだろうなー」と、ふと気になったので考えてみました。
アップテンポの曲を比較的好むので、余計に不思議に思い、「きっと理由は歌詞にあるんだろうな」ということで、歌詞に集中して聞き直してみました。
aikoと言えば「恋愛ソング」というのは、概ね間違っていないと思うのですが、聞き方によっては「恋愛」をテーマにした曲かもしれないけど、「もっと抽象的な捉え方ができるんだ」と聞き直してみて気付きました。
当時は恋愛ソングとして聞いていなかったということです。そして聞き直した今回も。
『夏服』収録曲の中で4曲ほど解説してみます。
1曲目に収録されている曲です。
「気付かない所なの こういうものって 君は君らしくいて忘れないで」という歌詞から始まります。
冒頭の歌詞でぐっと引き込まれます。
恋愛の歌詞でしょうが、「あなた」という言葉を恋愛対象の人ではなく、違うものに置き換えて聞いてみると、「人生そのもの」というか、ちょっとした壁にぶつかったときに励まされる歌詞であるという捉え方もできます。
具体例を挙げると、
2曲目に収録されている曲です。
サビの前に「後ろ振り向かずに歩く事 あたしは何があっても生きる」という歌詞があります。
「振り向かずに歩く」というフレーズもさることながら、「生きる」という言葉に強いメッセージを受けとれます。
これまたやはり恋愛の歌詞ですが、失恋ではなく「一緒に前に進もうね」という感じでしょうか?
この曲も「あなた」を恋愛対象に置換しないで聞くと、先に書いた「後ろ振り向かずに歩く事」とか「誰が何を言おうと関係ない」の他、
3曲目に収録されています。シングルで発売された曲でもあり、今でも根強い人気のある曲です。
『ロージー』の印象的な歌詞は「生まれた時からずっとあなたに抱きしめて欲しかったの」でしょう。
これは紛れも無く恋愛の歌詞ですね。
ただ、やはり「恋愛」に絞って聞くこともないかと…。
人間って弱い生き物ですからね、時には「悩み事を聞いて欲しい」とか「優しい言葉をかけて欲しい」って思うことは大抵の人は経験があるんじゃないでしょうか? 恋愛に限らず。
ただですね、これ完全に私事なんですが、「誰かに聞いてもらいたい悩みってあるよねー。でもさー、ありがたくは思うけど、通り一辺倒の回答やアドバイス(?)しか返って来ないんだよねー…」なんて、ブツブツ言いながら、前出の2曲に戻っていたのでした。
最後の『初恋』の後に、しばらく間が空いてから収録されているボーナストラックです。aikoのピアノ弾き語りの綺麗な曲です。
歌詞の意味は、冬に失恋したものの相手のことが忘れられず、気付いたら夏。私は失恋以来立ち止まったまま。
私はすごく愛していたから、私のことを置いていかないで。
そんな感じの意味です。
短い曲ながらも、詞がぐっと凝縮されており、且つインパクトがあるので「良い歌詞だなぁ」と思います。
ただ、やっぱり私は「恋愛」というテーマでは聞かず、違った聞き方をしていました。
一時この曲を毎日のように聞いていたことがあります。
まさに「自分は立ち止まったまま」で、どうしたらいいのか皆目わからずにいながらも、時間は静かに過ぎていくのを実感していた時でした。
『夏服』を聞きながら、「この先どうしたらいいのか…」と、ボワーっと考えていました。
以上、aikoの『夏服』収録曲の歌詞を自分流の解釈と、一部「本来はこういう意味なんだろうな」ということを織り交ぜて書いてみました。
なんで、このことを書いたかというと、「歌詞って聞き手の感性で自由に解釈していいんじゃないか」と思ったからです。
音楽に限らず、映画や小説なんかも同じく。
だってですね、昔の国語のテストで「さて、この時作者はどんな思いだったのでしょう?」なんて問題があったりして、「知るか! そんなこと!!」って思ったことありません?
おかげ様で「国語」大嫌いになりましたね。
「作った人がどういう思いで作ったのか」といった解説文があって、それに忠実に聞くのもいいかもしれないですけど、聞く人のタイミングで、全然違う解釈になることがあってもいいんじゃないですかね?
「作者の意図通りに聞かないとダメ」だったら全然おもしろくないかと。
ちょっと似たようなテーマのページを調べて読んでみましたが、案の定皆バラバラの解釈でした。
でも、「それでいいよねー」と思いましたね。
「文化」って、人間の生活とともに生きるわけで、そういった意味でも人それぞれの「好きの形」があるべきでしょう。
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